研究課題/領域番号 |
19031021
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 敬二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20325509)
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研究分担者 |
長村 利彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90117200)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2008年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
2007年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | 分子鎖 / 界面 / ダイナミクス / ナノ接着 / AFM / ポリスチレン |
研究概要 |
非晶性高分子を用いて接着界面の面積をナノレベルまでスケールダウンした際の接着力発現機構について考察した。今年度は、ナノ接着強度の温度および引き離し速度依存性から、界面分子鎖拡散に起因する項の詳細を検討した。試料として、単分散のポリスチレン(PS)を用いた。ナノ接着力(F_<nano>)は原子間力顕微鏡(AFM)を用いた力-変位測定に基づき評価した。PSでコートしたAFM用探針をPS膜表面に接触させ、表面のガラス転移温度(T_g)以上、バルクT_g以下の温度(T_<ad>)で、種々の接着時間(t_<ad>)保持した。PS膜を一定速度で垂直方向に引き離し、探針が膜から離れる際のカンチレバーのたわみ量からF_<nano>を求めた。ナノ接着強度(G_N)はF_<nano>を接触面積で除することにより算出した。T_<ad>=365KとしてG_Nの時間発展を評価した。t_<ad>10^3sの時間域では、G_Nはt_<ad>とともに増加し、t_<ad>=10^5s付近で一定となった。この結果は、セグメントが分子鎖熱運動性の活性化した界面層を相互拡散し、接着強度が増加した : ことを示している。また、G_Nは界面相互拡散が起こらない時間域においても有限の値であった。以上の結果より、G_Nは凝着力のみに依存する項(G_o)と界面分子鎖拡散に起因する項(G_<diff>の和で表現できると結論した。T_<ad>=365Kで(PS/PS)界面を接着させた場合の界面厚み(d)とG_Nの関係を評価した。dは動的二次イオン質量分析測定に基づき評価した。GNはdとともに増加した。G_<diff>がモノマー間の摩擦に支配される分子鎖引き抜きモデルで記述できると、(G_N〜d^2となる。ここで、Aはパラメータ、f_<mono>はモノマー間の摩擦係数である。一方、G_<diff>が界面厚のみに支配されるとG_N〜dとなる。dとG_Nの関係は、いずれのモデルを仮定しても結果を再現できた。G_<diff>の発現因子について検討するため、G_Nの温度依存性を評価した。Fig.2はt_<ad>を十分長くした場合の平衡G_N値を温度の関数として示している。ここで、G_Nがf_<mono>、すなわち、粘度に比例すると考えると、G_<diff>はWiliams-Landell-Ferry(WLF)型の温度依存性を示すと予想される。T_g^b以上の温度域において、PSのG_NはWLF型の関数でフィットできた。この結果は、G_Nは分子鎖を引き抜く際のモノマー間摩擦に支配されることを示唆している。また、装置改良を行ったことで、G_Nと速度の関係が評価可能となった。
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