研究課題
特定領域研究
本研究の目的は将来のHyperSuprime-Cam(HSC)を用いた弱い重力レンズ統計の観測から得られる制限の理論的な予測を行い、観測計画の立案に役立てることである。特に、(1)重力模型のテストと(2)バリオン振動を用いた方法との相補性について研究する計画であった。まず、弱い重力レンズ統計を用いた観測にかえられる宇宙モデルの制限に関しては、密度揺らぎの線形成長率をパラメーターとするような拡張重力模型についてフィッシャー行列解析にもとつく解析を行った。そしてどのようにすれば強くパラメーターを制限できるか定量的研究を行った。パラメーターに対する制限は、どのような銀河サンプルが得られるか観測のサーベイパラメーターに依存するため、HSCで予想される銀河サンプルを1視野あたりの露出時間の関数とするモデル化を行った。これにより期待される理論パラメーターの制限が1視野あたりでの露出時間として得られるようになった。その結果将来の観測で得られる制限を定量的に明らかにすると同時に、全観測時間を固定したときに最も強く制限を与えることの出来る1視野あたりの露出時間を議論できるようにした。成果としてまず、線形成長率のパラメーターに対する制限が0.1〜0.2程度の決定精度で得られる可能性がある1こと、また1視野あたりの露出時間は1フィルターあたり数分にするような浅いサーベイの方が強い制限がえられることを明らかにした。また、バリオン音響振動をもちいた観測を組合せて行うことで制限がさらにつよく改善できることも定量的に明らかにした。成果は学術雑誌Physical ReviewDに掲載された。また、拡張重力模型のより一般的モデルとして、宇宙論的パラメトライズド・ポスト・ニュートン定式化モデルに対する制限を定量的に調べた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
International Journal of Modern Physics A 23
ページ: 167-179
Physical Review D 76
Publications of the Astronomical Society of Japan, 59
ページ: 1049-1060
10023947637