研究課題
特定領域研究
Yipファミリーは、RabからGDP解離阻害因子を解離させて脂質修飾部位を露出させ、Rabを膜に固定させる働きを担う。本研究ではYipファミリーによるRabの脂質膜への固定メカニズムを原子分解能レベルで解明することを目的としてYipタンパク質の結晶構造を決定することを目指した。出芽酵母由来の6種類のYipタンパク質のうち、イントロンを含むYip3p以外について遺伝子をクローニングした。Yip2pは報告されている配列と5'端の配列が異なっており、ORFが明確でなかったため発現の候補から除外し、最終的にYiplp, Yip4p, Yip5p, Yiflp遺伝子をPiohia pastorisの発現ベクターであるpPICZおよびpPIczαに組み込んだ。DTTとLi_2SO_4で細胞を処理することにより形質転換効率を上げ、Yiplpについて、2g/LのZeocin存在下で生育することが可能な形質転換体を得た。17の形質転換体に対してメタノール添加による発現誘導を行い、膜画分を調製してC末端に付加したHis_6タグに対する抗体をもちいたウエスタンブロッティングによる発現の確認を行ったが、発現を確認することはできなかった。そこで、GFP融合タンパク質をつかった発現を試みたところ、N末端にGFPを付加したコンストラクトで膜画分への発現をGFPの蛍光により確認することができた。一方、膜タンパク質の結晶構造解析法の開発という観点から、原核生物由来の膜透過装置の結晶構造決定を行なった。SecYE(G)複合体は膜透過のためのチャネルであり、ATPaseであるSecAが膜透過装置を駆動させてタンパク質を細胞質からペリプラズムへと輸送する。高度好熱菌由来のSecYEとその特異的抗体のFab断片との複合体の結晶構造を3.2A分解能で決定した。
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