研究課題
特定領域研究
レグインスリンはダイズの種子で存在が確認された37アミノ酸残基からなる生理活性ペプチドであり、その受容体タンパク質であるレグインスリン結合タンパク質(LBP)に特異的に結合する。ダイズLBPはチロシンをリン酸化する活性を有し、この活性はレグインスリンの結合によって促進される。また、レグインスリンによってニンジンカルスの成長が促進されることが報告されている。レグインスリン/LBP系の生理機能の詳細は解明されていないが、LBPは植物の原形質膜や細胞壁、細胞外に存在が確認されており、細胞内外の何らかの信号変換や病原菌に対する防御応答に関与すると考えられている。本研究では、ダイズおよびニンジン由来のLBPを研究対象とする。ダイズおよびニンジンLBPの立体構造をX線結晶構造解析によって明らかとし、細胞壁や原形質膜近傍におけるLBPのタンパク質間相互作用を構造生物学的に解明することを目指す。ダイズLBPはダイズ種子から精製し、ニンジンLBPはニンジン細胞の培養液から精製した。ニンジンおよびダイズLBPの結晶化に成功し、ニンジンLBPの結晶構造は重原子同型置換法を利用して決定することに成功した。重原子データの収集はPF-ARNW12Aで行った。ネイティブデータの収集はSPring8 BL41XUを利用し、最終的には0.95Åという超高分解能で構造精密化を行った。ダイズLBPとニンジンLBPのアミノ酸配列の相同性はおよそ30%である。ダイズLBPの結晶構造は、ニンジンLBPをモデル分子とした分子置換法を用いて1.9Å分解能で決定した。
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