研究課題
特定領域研究
核膜孔は、細胞内でO-GlcNAcにより糖鎖修飾される蛋白質複合体としてもよく知られている。しかし、その糖鎖修飾の意義については必ずしも明らかになっていない。我々は、先行実験よりショウジョウバエの精子形成過程では核膜孔上の糖修飾がダイナミックに制御されていることを見出した。すなわち、体細胞では、常に糖修飾を受けている核膜孔が、精子形成過程の減数分裂直後に一過的に糖修飾が失われることを見出した。さらに興味深いことに、糖修飾を失った核膜孔は徐々に消失することも見出した。これらの観察結果は、O-GlcNAcによる糖修飾が核膜孔の安定性に寄与している可能性を示唆している。そこで、我々は核膜孔上の糖鎖の役割を解析するために、O-GlcNAcを付加する酵素O-GlcNAc Transferase(OGT)およびO-GlcNAcを脱離させる酵素O-GlcNAc'aseのノックダウンや強制発現できる系を構築した。その系を用いてショウジョウバエの精巣でOGTをノックダウンしたところ、正常よりも早い段階から核膜孔が核膜から一部消失することを見出した。このことは、糖修飾が核膜孔の安定性に寄与していることを強く示唆している。そこで、O-GlcNAcによって糖修飾を受ける主要な核膜孔蛋白質であるNup62をノックダウンしたところ、一部の核膜孔が核膜から消失することも見出した。この結果は、Nup62が核膜孔の形成維持に重要な役割を果たしていることを示している。また、Nup62をノックダウンすると器官が正常に発生せず、結果として致死になる。このことは、Nup62が生体にとって必須であることを示している。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
PLoS ONE 4
Cell. Tissue Res., 336
ページ: 137-147
FEBS Letters 582
ページ: 2572-2576