研究課題
特定領域研究
アジサイのガク片の発色は土壌pHと密接に関わっており、酸性土壌でより青色の花となることが知られている。着色液胞には、アントシアニンのデルフィニジン3-グルコシドが唯一の色素として存在し、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、p-クマロイルキナ酸が助色素として共存する。さらに、アルミニウムイオンが多量に蓄積し、これらより青色が発色するとされる。しかし、液胞への成分の集積機構は未だ不明のため、アルミニウム耐性の機構も明らかでない。本研究では、遺伝子レベルの解析と、アジサイの着色液胞を用いた実験を組み合わせ、アジサイの着色細胞の成熟に伴う液胞への物質集積のシステムを解明し、有害酸性土壌への適応戦略を解明することを目的とした。アジサイの培養細胞系の確立を目指し、茎頂無菌挿し木の作成と葉組織からのカルス誘導を試みた。無菌挿し木は、元の植物試料をエタノールおよびアンチホルミンで滅菌した後水洗し、1/2MS培地で行い、15固体から4固体程度根が発生したが、非常に成長が遅く、実験に使用できるまでには成長しなかった。一方、カルス誘導については、MS培地を用いて、オーキシン濃度を変えての誘導を試みた。この場合もいくつかカルスが誘導できたが、いずれも成長が遅かった。ガク片より酵素処理により得た着色プロトプラストの液胞pH測定、および細胞内のアントシアニン及び助色素の定量分析、ならびに、アルミニウムイオンの定量分析を単一細胞で行った。以前分析した紫色細胞に含まれる青〜赤色細胞に加え、青色ガク片の青色細胞、赤色ガク片の赤色細胞についても分析した結果、青色細胞で顕著に5-アシルキナ酸類とアルミニウムイオンが多いことが確認できた。
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