研究概要 |
H20年度は以下の2点についてそれぞれ成果を得た。以下に列記する。 1. DI RNAによる樹状細胞を介したNK細胞活性化解析 : Defective interference(DI) RNAは感染のIFN-beta応答においてRIG-I/MDA5をセンサーとする。DI RNAがpolyI : Cと異なりTLR3活性化に向かわない訳はendosomeに行かないためである。PolyI : Cはcytokine stormなど有害事象を誘起するが、DI RNAを含むウイルスワクチンは毒性が低い。PolyI : Cをエンドソーム標的型リポソームにくるんでマウス骨髄樹状細胞(mDC)に投与するとmDCのTLR3を選択活性化出来る事が判明した。IPS-1経路とTICAM-1経路の活性化が誘起する樹状細胞応答(NK活性化など)を比較検討する企画を推進中である。種々の人工合成stem-loop RNAもこの系でテストする。毒性が低くmDCを成熟化させるRNA誘導体をこの系で抽出する事を試みている。 2. ウイルス感染モデルを用いたRNA応答の解析 : 麻疹ウイルスの他にdsRNAを産生するpoliovtrus, HCVを用いて宿主RNA応答を解析した。麻疹DI RNAはRIG-I/MDA5をレセプターとしてIFN誘導を行うことが判明したが、ポリオ、HCVでは他のRNA認識パターン認識レセプター(TLR3, TLR7, TILR8, PKR, dicer-RNAi)を活性化しうるという結果を得た。HCVはhepatocytesに包まれたウイルスRNAがヒトmDCに侵食されてendosomeに到達しそこでTLR3と邂逅する、という経路で外因性のRNA認識経路(TICAM-1経路)を活性化すること、その結果樹状細胞は成熟化してNK, Th1の活性化を誘導する事を証明した(Ebihara et.al., Hepatology 2008)。Poliovtrusは腹腔投与でTICAM-1経路を活性化し、外因性のウイルス応答を誘起することが示された(Matsuo et.al., submitted)。TLR22が樹状細胞に表在するTGマウスを作成して、外因性経路の関与を検討中である。
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