研究概要 |
RIG-I like receptor(RIG-I, MDA5, LGP2)は細胞内に侵入したウィルス由来の二重鎖RNA(dsRNA)や5'ppp-ssRNAを認識し、IFN産生を促す細胞質内レセプターである。それぞれ異なるタイプのウィルスを認識することが知られている。我々は、これらのタンパク質に比較的保存されたC末端ドメイン(CTD)を見出し、このドメインの構造をNMR法により決定した。ついで、dsRNA, 5'ppp-ssRNAを適定し、化学シフト変化より、RNA結合部位を同定するとともに、RNA認識の分子機構の解明を行った。 RIG-I, MDA5, LGP2のCTDドメインはともによく似た立体構造を取っていた。分子中央部には塩基性の表面が存在し、良く保存された塩基性残基が存在していた。RIG-I, LGP2では、溝の一方の壁を形成するRNA結合ループが立ち上がり、比較的深い溝が形成されるのに対し、MDA5ではRNA結合ループはフラットな形状をとり浅い溝が認められるにすぎない。dsRNA, 5'ppp-ssRNAとRIG-I, MDA5, LGP2の結合をSPRにより測定したところ、RIG-I, LGP2はともに強くRNAを結合するのに対し、MDA5はほとんど結合しなかった。RNA結合ループがRNA結合に重要な役割を果たしていることがわかる。実際、RIG-I, LGP2に保存されたRNA結合ループ上のPheに変異を加えると、RNAの結合は認められなかった。今回の結果より、RLRによるウィルスの識別がCTDにより行われていることが明らかとなった。
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