研究概要 |
我々はM16ファミリーに属するメタロプロテアーゼnardilysin (NRDc)が、ADAMプロテアーゼの活性化因子であることを明らかにし、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(Nishi, Hiraoka他, JBC, 2006)、アミロイド前駆体タンパク質(Hiraoka他, J.Neurochem, 2007)、TNF-α(Hiraoka他, BBRC, 2008)など広範な膜タンパク質の細胞外ドメインシェディングの活性化に関与していること示した。本研究では、緑膿菌肺感染症の増悪に寄与していると考えられている、ヘパラン硫酸プロテオグリカン・シンデカン1のシェディング誘導機構におけるNRDcの役割を検討した。我々の研究で、1)リコンビナントNRDcを加えるとシンデカン1のシェディングが誘導されること、2)ADAMプロテアーゼの一つであるTNF-α converting enzyme(TACE)をNRDcが活性化することでシンデカン1のシェディングが増強されること、3)我々が作製したNRDc欠損マウス(NRDc-/-)の肺で膜結合型(シェディングされていない)シンデカン1が増加していること、4)NRDc-/-に緑膿菌を経鼻感染させると、NRDc-/-の肺への感染が低下していること、を確認しており、緑膿菌肺感染症においてNRDcがシンデカン1のシェディングを介して感染性を制御していることを示した。
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