研究課題
特定領域研究
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)のMIR1とMIR2は異なる抗原提示関連分子をユビキチン化する。MIR1は主にMHC class I(MHCI)を、MIR2は主にB7-2を抑制する。MIR1, 2は共に膜結合型E3であり、お互い一次、二次構造が類似している。従って、MIR1, 2はKSHVのゲノム上にて重複にて生まれた遺伝子であると考えられている。このようにホモログでありながら、なぜ、標的分子が異なるのかについては、全く謎である。従って、MIR2がB7-2を標的とするために必要とするMIR2の領域を、MIR1とMIR2とのキメラ分子を作成する事により検討した。それぞれのキメラ分子をエレクトロポレーション法にてB細胞に導入し、B7-2の細胞表面における抑制をFACSにて検討した。その結果、MIR2の二つの膜貫通領域のいくつかの部位がB7-2を抑制する必要領域である事を見いだした。この領域がB7-2との結合に必要であるのか? さらに、ユビキチン化に必要であるのか? を現在検討中である。次に、MIR2によるMHC class Iの抑制にユビキチン化が関与しているが、その分子機構については不明である。従って、ユビキチン化の関与に関する分子機構について検討した。MIR2による機能的ユビキチン鎖はMHC Iの特定の部位に形成され、さらに、現在までに報告されているものと異なるタイプのポリユビキチン鎖が形成されている事が強く示唆された。さらに、この特異的なポリユビキチン鎖はユビキチンを認識するアダプター分子と結合する事によりエンドサイトーシスを誘導する事が明らかとなった。この結果は、現在までに報告されていない新たなユビキチン鎖がエンドサイトーシスのシグナルとなる事を明らかにしたもので、メンブレントラフィックの分子機構の解明に新たな道筋を示した事にもなり、重要な知見である。
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