研究課題
特定領域研究
プリオンはタンパク質性の感染因子である。感染の源は、タンパク質の構造変換である。プリオンでは、分子間βシートよりなるアミロイド様構造が増殖・伝播することで感染していくことが知られている。アミロイドは線維構造を形成するが、その線維がプリオンとして増殖していくためには、線維自身の自己触媒的な成長に加えて、線維の分断による増殖が必要である。プリオンの増殖の分子機構の詳細はまだ明らかではないが、出芽酵母のプリオンではHsp104というシャペロンがプリオンの次世代への伝搬に必須であることが証明されている。そのメカニズムとして提唱されているのは、Hsp104は熱変性によるタンパク質凝集をATP依存でほぐす能力があるAAAシャペロン(ClpBホモログ)なので、Hsp104はプリオン線維をATP依存で分断することによってプリオンの増殖を促進しているのではないかというものである。そこで本研究では、Hsp104がどのようなメカニズムでプリオン伝搬に関与するのかを、申請者がこれまでに確立してきた酵母プリオンの1細胞観察(in vivo)と1分子蛍光イメージング(in vitro)を組みあわせることで明確にすることを目的とする。20年度はHsp104依存のSup35線維の分断がどのような機構で行われるのかに関して詳細な解析を行い、4℃で作成した線維ではHsp104単独で線維の分断が起こるらしいことを見出した。また、蛍光顕微鏡下にてプリオン線維の分断のようすを実時間でイメージングする道筋を付けた。
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