研究課題
特定領域研究
オートファジー(自食)は真核生物に普遍的に見られる生理現象で、ユビキチン/プロテアソーム経路とは異なるタイプのタンパク質分解経路として近年注目を集めている。オートファジーは、二重膜構造を持つ隔離膜が伸長し、細胞質やオルガネラなどをとり囲み(オートファゴソームの形成)、ここにリソソームが融合することにより内容物が消化・分解される。オートファジーは非常にダイナミックな膜(小胞)輸送過程を伴うにも関わらず、隔離膜やオートファゴソームの膜の由来は全く分かっていない。そこで本研究課題では、真核生物に普遍的な膜輸送の制御因子である低分子量G蛋白質Rabに着目し、オートファゴソームの膜形成に関与するRabアイソフォームの同定を試みた。本年度は、NIH3T3細胞の細胞抽出液からGST pull-down法によりRab33Bが隔離膜の伸長に必須の役割を果たすAtg16LとGTP依存的に結合することを見いだした。興味深いことに、Atg16LのRab33B結合部位はAtg16Lの中央部分のcoiled-coil領域であり、この領域を細胞に過剰発現させるとオートファジーが強く阻害されることが明らかとなった(MOl. Biol. Cell(2008)19 : 2916-2925)。また、Rab33Bの活性化型固定化変異体の発現によりオートファジーが抑制されることも見いだした。この成果は、オートファジー制御因子(Atg)と膜輸送制御因子(Rab)が直接リンクする初めての事例であり(Autophagy(2008)4 : 824-826)、今後Atg16LのRabエフェクターとしての機能と、Atg16L-Rab33B複合体のオートファジーにおける役割をさらに検討していく予定である。
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