研究課題
特定領域研究
プロテアソームは約100個のサブユニットが分子集合することにより形成された巨大な蛋白質分解酵素複合体であり、各サブユニットが厳密に配置することで非常に高度な機能を獲得し、生体内の様々な調節を行っている。新規シャペロンDmp1-Dmp2複合体は酵母20Sプロテアソームの分子集合においてαリング形成の足場としての役割が推定されている。これまでにDmp1-Dmp2複合体およびDmp1-Dmp2-α5サブユニット複合体の立体構造を決定したことから、立体構造情報をもとにαリングの形成に関与する機構を種々の複合体形成中問状態を作製しin vitroで解析を行った。Dmp1-Dmp2複合体を含む20Sプロテアソームの中間体モデルはDmp1-Dmp2-α5サブユニット、20Sプロテアソームの結晶構造から構築した。その結果、Dmp1-Dmp2はβサブユニットの結合サイトからα5と結合しており、中間体モデルの解析からα5と同時にα4、α6サブユニットとも相互作用することが示された。さらに、Dmp1-Dmp2が結合したαリングにβサブユニットが結合した時、β4、β5、β6サブユニットの結合時にDmp1-Dmp2との間に立体障害が生じることが明らかとなった。これまでにプロテアソームの中間体の解析よりαリングにはβ2、β3、β4の順に結合することが報告されていることから、Dmp1-Dmp2はβ4の結合により解離していると考えられる。また、Dmp1-Dmp2を含めたα4、α5、α6サブユニットの複合体形成機構の解析を行うことにより、Dmp1-Dmp2の存在がαサブユニットの特異的な複合体形成に関与している可能性が示された。
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