研究課題/領域番号 |
19201016
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境技術・環境材料
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
清家 泰 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (30243421)
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研究分担者 |
奥村 稔 島根大学, 総合理工学部, 教授 (30032650)
三田村 緒佐武 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50030458)
千賀 有希子 立正大学, 地球環境科学部, 助教 (30434210)
矢島 啓 鳥取大学, 工学部, 准教授 (10283970)
井上 徹教 独立行政法人港湾空港技術研究所, 海洋-水工部, 主席研究官 (70311850)
中村 由行 港湾空港技術研究所, 海洋-水工部, 領域長 (90172460)
相崎 守弘 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (20109911)
山口 啓子 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (80322220)
日向野 純也 水産総合研究センター, 生産システム部, 二枚貝増養殖チーム長 (80372019)
山室 真澄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究所, 教授 (80344208)
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連携研究者 |
山室 真澄 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究所, 教授 (80344208)
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
46,670千円 (直接経費: 35,900千円、間接経費: 10,770千円)
2009年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2008年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2007年度: 21,970千円 (直接経費: 16,900千円、間接経費: 5,070千円)
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キーワード | 環境修復技術 / 貧酸素水塊 / 水質汚濁 / 新規な高濃度酸素水供給システム / 水質・底質改善 / 自浄作用 / 浚渫窪地 / 硫化水素 / メタン / 高酸素水導入装置 / 水質改善 / 底質改善 / 酸化還元 |
研究概要 |
実験区(高濃度酸素水導入窪地)の他に、対照区(高濃度酸素水導入の影響の及ばない窪地)を設け、比較検討した。湖底直上1m層への高濃度酸素水の導入による改善効果として、明らかになった研究成果の概要を以下に示す。 (1)対照区では底層水中に高濃度の硫化水素(H_2S)が観測されたのに対し、実験区ではH_2Sが消失した(H_2S+1/2O_2→H_2O+S^0↓)。 (2)対照区では底層水中の溶存酸素(DO)濃度が無酸素に近い状態で推移したのに対し、実験区では窪地全域のDOが増大した。また、対照区では底層水中の酸化還元電位(ORP)が負の領域で推移したのに対し、実験区では正の領域まで上昇した。 (3)湖底堆積物中のH_2S濃度を鉛直的にみると、対照区では表層部のみでH_2S濃度の減少が観られたのに対し、実験区では表層から5cm程度の深度まで濃度が激減した。また、メタンCH_4(温暖化ガス)もH_2Sの鉛直分布と同様の傾向を示した。 (4)対照区に比べ実験区では、底層水中PO_4^<3->に明瞭な減少傾向が観られた。実験区の湖底泥表面に酸化膜の形成が観られたことから、湖底泥界面における共沈現象及び湖底からのPO_4^<3->の溶出抑制が示唆された。 (5)対照区に比べて実験区では、底層水中の無機態窒素(NH_<4+>+NO_<2->+NO_<3->)に減少傾向が観られた。酸素導入により、湖底泥界面における窒素除去機能(硝化・脱窒)が活性化したことを示唆する。湖底堆積物の深度別脱窒活性を観ると、対照区では表層部のみ活性を示したのに対し、実験区では表層から5cm程度の深度まで顕著な活性を示した。この結果は、高濃度酸素水の供給により、脱窒部位が大きく拡大したことを意味する。 (6)対照区ではベントス(底生生物)が皆無であったのに対し、実験区では、アサリやサルボウガイのような二枚貝の加入は認められなかったものの、多毛類を中心とするベントスの棲息が確認された。 以上のように、松江土建(株)社製の気液溶解装置を用いるWEPシステムは、無酸素水塊への酸素供給を起点に、生物に有毒なH_2Sの消失、温室効果ガスであるCH_4の消失、栄養塩(N,P)の減少及びベントスの復活等に絶大な効果を発揮した。通常、還元的な湖底堆積物に対する自然任せの酸素供給では、その効果は、精々、湖底泥表層部の数mmまでと云われていることを考えると、本システムによる底質改善効果(泥深約0~40mm)は絶大である。このようにWEPシステムは、本研究で対象としたような比較的広範囲の窪地に対して有効であり、特に湖底の底質改善に極めて有効であると云える。今後、ランニングコストの低減が図れれば、有用性はさらに高まるものと考えられる。
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