配分額 *注記 |
52,130千円 (直接経費: 40,100千円、間接経費: 12,030千円)
2009年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2008年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2007年度: 32,370千円 (直接経費: 24,900千円、間接経費: 7,470千円)
|
研究概要 |
本課題は、分子モーターシステムの"酵素機能における力の役割"を1分子レベルから分子集合体、ひいては細胞に至るまでの階層構造に着目して研究することにある。この3年間での主な研究成果をまとめる。1)アクチンフィラメントの上を一分子で歩行運動するMyosin Vに、光ピンセットを用いて様々な方向に外力を加え、それに対するATP存在下での歩行運動の安定性や、ADP存在下での様々な角度に加えた外力による破断力を測定し、安定な歩行運動機構を論じた(Oguchi et al., Nature Chem.Biol.2010 ; Myosin VIについては、Oguchi et al., PNAS.2008)。またMyosin VやVIに限らず、Myosin IIやKinesinに関する1分子破断力測定の結果を纏めたレビューを発表した(Mikhailenko et l., J.Royal Soc.Interface2010)。2)単一筋原線維を用いて、中間活性化条件における外力刺激に対する各筋節の応答性を調べ、応答するものとしないものとの2状態に分かれること、そして筋節間の力学連結性を明らかにし、多分子モーター系に特徴的な筋収縮・制御機構を解明した(Shimamoto et al., PNAS,2009)。3)横紋筋の自励振動現象(SPOC)を含む収縮特性を説明する理論を構築した(Sato et al., Submitted 2010)。4)カエル(Xenopus)卵の抽出液中で自己組織化された染色体分裂装置の力学特性(縦横の弾性率)と力学刺激応答に関する研究成果の第一弾を発表した(Itabashi et al., Nature Methods, 2009)。分裂装置に大変形を加えると自発的に小さなサイズに再編成されるなどの新知見を得た。5)染色体分裂装置のラグビーボール形状の維持機構を解明する目的で、一対のガラス微小針を顕微操作して長軸(極)方向に引っ張り変形を加え、その応答性を定量的に検討した。その結果、強制的な形態変形に対して、微小管の重合・脱重合やキネシン・ダイニン系のモーター活性を通じて、ラグビーボール形状を維持するように適応することが明らかになった(論文準備中)。6)HeLa細胞に局所熱パルス(0.1から数℃の温度変化、1秒以上のパルス幅)を加えると、Ca^<2+>振動が誘起されること、しかも、37℃付近では0.2℃ほどの小さな温度変化に応答することを発見した。これにIP_3受容体が関与していることを証明した(Suzuki et al., HFSP J, 2009)。
|