研究課題/領域番号 |
19330214
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
特別支援教育
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
早川 友恵 帝京大学, 文学部, 教授 (60238087)
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研究分担者 |
寺園 泰 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (90435785)
藤巻 則夫 独立行政法人情報通信研究機構, 第一研究部門, 主任研究員 (80359083)
眞溪 歩 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (50273842)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2009年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2008年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2007年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 文脈効果 / 視機能改善 / 読字 / 書字 / 学習 / 視覚障害 / 障害児教育 / 劣化画像 / 視覚認知 / 脳機能 |
研究概要 |
視機能は、視力・視野検査の値で評価されることが多いが、その計測値は、事前情報の質量および事前情報と現在処理中の情報の間につくられる文脈によって変化する。さらに、計測値は注意の影響も受けることが知られている。このような効果は、生物のダイナミックな情報処理系の特徴であり、健常人であっても生じる。視覚障害者では、こうした文脈効果を活かすことが出来ず、また注意による周辺視野の抑制により残存視覚が有効に利用されないことが多い。本研究は、文脈依存によってダイナミックに変化する視知覚の特性を、視覚障害児の支援教育に適用する。文脈(記憶)によって視感度が上昇する現象を、心理学・神経科学の観点から明らかにして、生体の情報処理にフィットした支援教育にフィードバックできる基礎理論を構築することを目指して実施した。 研究の要点は、1.視覚的情報劣化のシミュレーションの検証と2.文脈効果による視覚認知の改善を明らかにすることにある。文脈効果については2つの課題を含んでいる。すなわち、2-1記憶による劣化情報の認知改善と、2-2空間的に連続した先行情報がもたらす視覚的準備(注意の移動)を検討することである。前者は、視力低下による解像度低下を想定して計画し、後者は視野の部分的欠損を想定して計画した。 主な成果は以下のごとくである。1.あらゆる心理実験および脳機能計測の環境で使用可能な視覚的劣化のアルゴリズムを開発した。完成したアルゴリズムと心理実験の結果は、Neuroscience 2008および日本心理学会第73大会で報告した。アルゴリズムはAppendixとして論文中に挿入し、公開予定(投稿中)である。他の研究グループから、適用の可能性について問い合わせが来ている。2-1記憶が視覚認知を改善する課題については、劣化した単語情報が語彙-意味記憶によって修復・理解される脳内メカニズムを明らかにした。心理実験および脳機能計測(機能的磁気共鳴画像・脳磁界計測)を行ない、機能的磁気共鳴画像の結果については、現在、英文誌に投稿中である。図形情報の劣化については、我が国には心理実験・脳機能計測に適した標準画像が無いので、標準画像を作成する処から開始した。約2000名の調査および心理実験から、標準画像を作成した。成果は、日本心理学会第74会大会(平成22年9月)で発表する。コンテンツは、いずれかの公式サイトからダウンロードできるように、準備中である。記憶と図形認知の関係を明らかにするため、作成した標準図形を使用して脳機能計測を行なう予定である。2-2空間的な文脈の形成に必要な先行情報数を特定した。形成された心理的準備状態(予測)による視覚認知の促進については、現在も実験中である。本課題に関連して、抑制された残存視覚の認知を促進する訓練装置の開発を行なった。現在、既に取得が決定しているシステム(米国特許・早川他)が有るが、視線の動きを反映した訓練装置について継続開発中である。 本研究課題で得られた成果は、下記の発表論文等に示す通りである。平成22年度以降も、論文やコンテンツの公開、および特許技術として社会に還元される。
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