配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2008年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2007年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
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研究概要 |
新規に開発した1,8-ジメトキシチオキサンテン配位子を二つ有するアレン化合物を合成し,2つの硫黄原子をメチル化することで超原子価6配位炭素化合物の合成に世界で初めて成功した。ジメチル化してスルホニウムジカチオンヘ誘導することで中心炭素上の電子密度が減少し,周りの酸素原子との吸引的な相互作用が強くなることが分かった。単結晶X線構造解析の結果,中心の炭素原子と周りの酸素原子間の距離は2.64-2.75Aで炭素と酸素のvan der Waals半径の和(3.25A)よりも短いことが分かった。精密電子密度解析の結果,中心の炭素原子と4つの酸素原子間すべてに電子密度が分布していることが分かり,炭素酸素間に吸引的な相互作用が存在していることを明らかにした。またDFT計算(B3PW91/6-31G(d)level)を用いたAIM解析の結果,同様に炭素原子と4つすべての酸素原子間に吸引的相互作用の存在を確認することができた。世界初の成果として,Chemistry and Industryのhighlightに取り上げられた。 三重項カルベンは非常に短寿命な中間体である。最も長寿命のもので,溶液中で約二週間存在できるものが報告されているが,単離しX線構造解析によって構造が確認された例はない。新規な三座配位子を二つ有するアレン化合物を二電子酸化することでジラジカルジカチオン種が得られると考えられる。本研究で開発した配位子を二つ有するアレン化合物の二電子酸化が可能であることが分かり,安定な三重項カルベンを合成するための新しい経路を提案することができた。配位子を改良することで安定な三重項カルベンを得ることができる可能性があり,実際計算では安定な三重項カルベンとなる系を見つけた。実験的な検討も始めることが出来た。
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