研究課題
基盤研究(B)
電界電子放出特性は、仕事関数、表面準位などに強く依存するが、これらは物質の電子構造に依存する。そして、電子構造は、結晶構造によって決定される。レーザ・プラズマ複合化CVD等により得られるsp^<3->結合性BN薄膜の電界電子放出特性の研究において、従って、結晶構造の詳細な検討が必要とされた。特に、本手法により、sp^<3->結合性BNの新規多形として、われわれが既に発表・登録した5H-BNに加えて、われわれは新たに6H-BN及び30H-BNを見出したため、上述の観点からこれら、新規結晶結晶構造の検討とその電子物性の関係を明らかにする必要性が生じた。又、今回、sp^<3->結合性6H-BNが正式にICDD(International Center of Diffdraction Data)に登録されたことも特筆に値する。ここで、共同研究者の小林による第一原理計算からsp^<3->結合性BNの2Hから30Hに至る多形列の熱力学的安定性(非平衡性)を求め、それをionicity, close-packing index,hexagonalityy等の指標によってダイアグラム化する構造解析の新手法を開発し、個々の多形の結晶学的な位置付けに関する新観点をもたらすことに成功した。特に、長周期の多形30H-BNは格子定数cが60Åに達し、このように単位胞が巨大化することで、ポーラロンなどの有効半径に近づき、導電性の異常などの新たな物性が見出される可能性が指摘できた。従来の仕事関数、表面準位、negative electron affinity(NEA)等が、電界電子放出に寄与するという枠組みを超えた可能性が、多形研究から見出されたことを示す。又、非線形電界電子放出モデルの開発も進み、エミッター分布が特性に与える影響の解析が進んだ。
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