配分額 *注記 |
20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
2008年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2007年度: 15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
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研究概要 |
チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr_<0.52>Ti_<0.48>)O_3,PZTと略記)を中心とする強誘電体薄膜は高い強誘電性のみならず、優れた圧電性も示すので、マイクロ・アクチュエータ用材料としても注目され盛んに研究されている。PZT等の強誘電体薄膜を作製するには、ゾルーゲル法やレーザーアブレーション法等の方法が用いられるが、ペロブスカイト相に結晶化させるためのデポジション温度およびデポジション後の熱処理温度はいずれも600℃以上なので、薄膜と下部電極および基板の間での元素の相互拡散や薄膜の表面における鉛や酸化鉛の蒸発などの問題点がある。本研究では、マイクロ波加熱によるPZT薄膜の低温結晶化のメカニズムを解明するとともに、PZT薄膜の作製が可能な低温プロセスを開発することを目的とする。本年度では、Pt/Ti/SiO_2/Si基板上にゾルーゲル法を用いてPZT薄膜をコーティングし,400℃から750℃までの温度範囲で2.45GHzマイクロ波によりPZT薄膜を加熱し,その結晶構造と微細組織および電気的特性等を調べて、マイクロ波加熱プロセスにおけるPZT薄膜の結晶化過程を検討した。その結果,マイクロ波の磁場中に450℃-30minの加熱でPZT薄膜がペロブスカイト相に結晶化でき,通常加熱プロセス(600℃-30min)で作製した薄膜と同様な電気的特性を示したので、マイクロ波加熱はプロセスの低温化効果があることを明らかにした。また,異なる構造のサンプルの加熱曲線を調べた結果,PZT/Pt/Ti/SiO_2/Si構造のサンプルがマイクロ波の磁場中に加熱されるのは金属電極と基板シリコンがマイクロ波エネルギーを吸収することに起因することを明らかにした。以上の結果から,シングルモードの2.45GHzマイクロ波の磁場中にPZT薄膜を加熱し,450℃の低温でペロブスカイトのPZT薄膜が作製できると考えられる。
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