配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2008年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2007年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
|
研究概要 |
SAGE法およびCAST法により食道癌、胃癌のがん幹細胞マーカーを同定し、これらの癌に対する新しい治療感受性診断系を確立することを目的として、最終年度となる本年度は以下のとおり実施した。 1)SAGE法によって抽出された消化管癌特異的発現遺伝子とがん幹細胞 昨年度に引き続いて、食道扁平上皮癌のSAGE解析を行ない、新たに食道癌で発現が充進している遺伝子として、ADAMTS16, SPARC, KLK10, BLMH, EGRI, NRD1, SUFUなどを同定した。定量的RT-PCRではADAMTS16は食道癌の40%において過剰発現し、RNA干渉により、食道癌細胞株の増殖能および浸潤能は有意に抑制された。がん幹細胞との関連を明らかにするために、免疫組織化学的解析を行なった。胃癌のSAGE解析により同定したGW112は、高分化腺癌とともに小腸の幹細胞に発現していた。 2)CAST法によって抽出された胃癌特異的膜蛋白・分泌蛋白コード遺伝子とがん幹細胞 胃癌細胞株MKN-28およびMKN-1では、side population cellがそれぞれ2.2%、0.8%存在することが確認されている。この2細胞株および正常胃粘膜についてCAST法を用いて網羅的に膜蛋白・分泌蛋白コード遺伝子を探索した。その結果、MKN-1では331遺伝子、MKN-28では283遺伝子が抽出され、67遺伝子についての定量的RT-PCR解析から、DMKN, PCDHB9, BST2, DSC2などの候補遺伝子を抽出した。免疫染色による発現解析、細胞生物学的機能解析を行なった。DSC2の発現解析では、胃癌では低分化よりも高分化に発現しており、一方、食道では幹細胞よりも分化した細胞に発現が認められた。 得られた成果は、がん幹細胞とプロジェニター細胞との形態学的比較、がん幹細胞を標的とした診断・治療開発につながるものと期待される。
|