配分額 *注記 |
19,630千円 (直接経費: 15,100千円、間接経費: 4,530千円)
2008年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2007年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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研究概要 |
A群レンサ球菌(Group A Streptococcus : GAS)は初発感染として咽頭炎や扁桃炎, さらに続発性疾患として猩紅熱やリウマチ熱, 糸球体腎炎を引き起こす病原菌である. A群レンサ球菌は, 上皮細胞に侵入した後, エンドソームによる分解を回避し細胞質へと移行する. 一部は, 新たな自然免疫として機能することが示されたオートファジーにより除去される. このように細胞内の宿主の防御系から逃避することが, A群レンサ球菌の多彩な臨床像を示す1つの理由となるのではないかと考えられる. そこで, 本研究ではA群レンサ球菌が, 宿主の防御機構を回避し, 細胞内で生存する機構を明らかにすることを目的として, 感染時におけるA群レンサ球菌の全ゲノムレベルでの発現解析を経時的に行った.その結果, 真核細胞内に存在しているA群レンサ球菌のRNAを抽出・増幅した後に, マイクロアレイ解析を行った結果と定量的PCRとの間に相関があるプロトコールを確立することが出来た. 次に, A群レンサ球菌の発現変化に着目して, 発現解析を行った. 感染前のA群レンサ球菌と比較して, 感染後1時間目においてその発現を1.5倍以上変化させていた遺伝子数は全ORFの43%(1861個のうちの約800個)に及んでおり, オートファジーによる作用を受けていると考えられる3, 4時間目においても10%程度の遺伝子が発現を変化させていた.興味深いことに, 細胞のオートファジーの有無が, 同じ感染時間のA群レンサ球菌の遺伝子発現パターンの変化に影響を与えており, 全ORFの8%の遺伝子発現に差が生じていることがわかった.また, オートファジー欠損型細胞での比較により, オートファジーの存在下でのみ発現が上昇する遺伝子が26個見られた. このうちの7個の遺伝子(一本鎖結合タンパク質, インテグラーゼ, プラスミド安定化タンパク質, リボソームタンパク質S21, 透過酵素及び未知のタンパク質)は, オートファジー欠損型の宿主に感染した場合は発現が1.5倍以上減少していたため, オートファジーに対応して発現を増加させている可能性が考えられた.
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