研究課題
基盤研究(B)
バナバ人は、第二次大戦中、強制的に故郷の島を追われ、帰郷を果たすことのできない太平洋のディアスポラである。戦後の1945年12月、バナバ人は姻族や友人のキリバス人とともに、バナバ島での燐鉱石採掘再開をもくろむ英国植民地政府によって、フィジーのランビ島へ移送された。世代を重ねた現在、多くはフィジー国籍を有している。バナバ人は、たとえキリバス人の親族がいたとしても、キリバス人とは異なるエスニシティであると強く自己主張している。しかし、身体的・文化的指標によって、バナバ人とキリバス人とを明確に弁別するのは困難である。むしろ「バナバ人であること」とは、バナバ島出自の自己意識、および強制移住の悲劇的歴史に関する集合的記憶の共有によって主張されるものである。
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社会人類学年報 34巻
ページ: 25-50
社会人類学年報 34
比較文化研究 3巻
ページ: 1-15