研究課題
基盤研究(B)
西アフリカのギニアをモデルに、数年間の品種比較試験を通して、天水低湿地水田の収量形成要因の特定と環境型と遺伝子型の交互作用の解析を行い、対象地域の環境に適応した品種群を明らかにしようとした。その結果、収量形成に及ぼす最も重要な形質は、環境にかかわらず登熟歩合であった。全期間、サイト、品種の登熟歩合と収量の相関係数はr=0.743(P<0.001)となり、極めて高正の相関が認められた。さらに、収量は1穂籾数とも相関があり(r=0.419(P<0.001)、1穂籾数の増加は収量向上に影響を及ぼしていると考えられることから、対象の天水低湿地水田全般においては、穂数よりも穂重の特徴のある草型がより適性が高いと言えるが、収量は環境によって変動しており品種の環境への評価を詳細に進める必要があろう。次に、環境型・遺伝子型の交互作用を解析によって、異なる環境に対する品巣の一般適応性が明らかになった。そのような品種群は環境の良否にかかわらず講習を示す品種であり、本研究においては西アフリカで伝統的に栽培されているGambiakaとアフリカライスセンターで高収量を目的に育種されたアジアイネとアフリカイネの交雑種NERICAと呼ばれる系統のWAB1159-2-12-11-2-4などが、供試品種の中ではより一般適応性が高いと考えられた。これら品種はいずれも登熟歩合が高く、収量の回帰係数が1に近く、回帰の残差分散も小さい特徴を示した。
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TROPICS
巻: 20 ページ: 55-66
130004843761
湿地環境と作物
ページ: 102-106
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