研究概要 |
本研究の主眼は,古典期ギリシアの医学思想が同時代のギリシア人の人間観の展開に対して与えた影響を,思想文化史的観点に立って解明することにあった.この時代の医学者たちによる重要な思想的貢献の一つは,いわば価値中立的な生理学的事象として人間の身体(ソーマ)というものを,明確に概念化したという点にある.身体の明確な概念化によって,倫理的・社会的存在としての人間の主体性のよりどころにあたるものが,理論的に要請されることになり,この要請が人間の「魂」(プシューケー)の〔再〕発見へとつながっていったと考えられる.
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