研究課題/領域番号 |
19530294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
加藤 竜太 国際大学, 国際関係学研究科, 教授 (60242971)
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研究分担者 |
高橋 新吾 国際大学, 国際経営学研究科, 講師 (70445899)
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研究協力者 |
川出 真澄 新潟大学, 経済学部, 准教授 (00361890)
高橋 新吾 国際大学, 国際経営学研究科, 講師 (70445899)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2008年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2007年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 女性労働 / 経済成長 / 高齢化社会 / 計算可能な一般均衡モデル / シミュレーション / 人口高齢化 / 数値解析的一般均衡分析 / シミュレーション分析 / マクロ経済 / 育児補助 |
研究概要 |
我が国は近い将来急速な高齢化社会に突入すると同時に、総人口も減少することが予想されている。総人口の減少は労働人口減少をさらに加速させるであろう。労働人口の減少はマクロレベルでみれば将来の経済成長に大きくマイナスに働くであろう。労働人口減少に伴う経済成長の鈍化は税収の減少などを引き起こすとともに、高齢化社会の到来と相まってさらに年金財政や医療財政を圧迫するであろう。このような問題意識の中、本稿は女性労働供給の経済成長に与える影響を計算可能な多世代重複一般均衡モデルで分析した。女性労働供給に影響を与える要因は様々であろう。育児や介護の影響も極めて大きいであろう。当然のことながら育児や介護に関わる政策を重んじるなら、これらの政策の財政的側面も政府予算という枠組みの中で明示的に考慮しなくてはならない。女性労働供給を刺激する政策はその政策に関わる財政支出を増加刺せるであろう。一方、女性労働供給増に伴って将来の経済成長が好転するならば、その結果として財政収入も増加するであろう。したがって、総合的には財政収支は好転するかもしれない。また、各家計の視点で考えれば、このような政策はそれぞれの家計の効用水準にも影響を与えるであろう。仮に政府の財政収支が好転したとしても家計の効用水準が低下するのであればこのような政策は支持されない。このような総合的な政策に関わる評価判断は数値解析的に行われなければならないであろう。さらに、長期的な影響を分析する場合、定常状態のみの比較ではなく、移行過程における異なった世代への影響が極めて重要である。従って、本稿では計算可能な多世代重複一般均衡モデルの枠組みを使って、女性労働供給とそれに関わる政策の影響を長期的な経済成長への影響という視点で分析する。一般均衡モデルはすべての経済依存関係を明示的に取り入れているので、先に述べた政府予算を満たすような様々な政策の総合的な影響を見ることが出来る。また、数値解析的に分析を行うので、移行期過程を含めて異なった世代の効用水準を等価変分などを用いることによって数値的に示すことが出来る。さらに、将来の人口ピラミッド構成を現実的に与えた点も大きな特徴である。女性労働供給が将来の経済成長へどのような影響を見るかをみるためには、将来の男女別人口が重要な鍵を握る。本稿ではシミュレーション分析をより現実的な状況に近づけるために最新の『日本の将来推計人口』(国立社会保障・人口問題研究所)を利用した。女性労働供給は長期的な経済成長にとって重要であることがシミュレーション分析で明らかにされた。とくに、もし現行の状態が続いた場合、2050年には2030年の13%程度の総生産減が見込まれる。一方、2010年以降、家事育児負担が10%減少するシナリオでは長期的には標準ケースに比べて総生産を3%増加させる。実際、総労働力供給は家事育児負担の影響の緩和で、2010年以降、約2.5%近く上昇しており、総資本も3%程度増加している。なお、女性労働供給は非常に高くなっていることが分かる。すなわち、女性の労働参加の推進はマクロ経済に正の影響を与えることが分かる。
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