研究概要 |
n個のテータ函数の冪積によりn点で分岐する局所系の(コ)ホモロジーの構造を明らかにし,これを基礎に積分論を展開するため,Wirtinger積分およびこれの一般化で比較的計算の短いものに対し,上半平面上の函数として考えたときの微分方程式あるいはモジュラー変換の導出を行なった.コホモロジーの研究では射影空間の場合とは異なる性質が現れることが判明した.また,モジュラー変換の研究では,モジュラー群が基本群に比べより明示的に元が表示できる特性を利用して,一般モジュラー変換による一般変換則を具体的に表示した. 積分の2次元化の研究として,主偏極アーベル曲面における半周期指標つき2変数テータ函数16個分の零点集合の配置とコホモロジーの研究をおこなっており,因子の交叉の状況,因子の補空間オイラー数,コホモロジーの基底など部分的な結果が得られているが,証明は現在進行中である.
|