研究概要 |
爆発事故,自然災害における衝撃波の被害は甚大であり,被害予測と対策は重大な安全管理項目である.また複雑構造を有する弾性体や非線形挙動を持つ媒体との衝撃波衝突干渉に関連して,砂,フォーム,ガラスビーズと高粘度流体による衝撃波の緩和効果や衝撃波が生体に及ぼす影響等工学医学応用を目的とした研究が行われている.本研究では,上記の衝撃波干渉問題に関連した一連の研究を行い,衝撃波・爆風環境の圧力緩和効果について調べた.本研究で得られた結果を要約すると以下のようになる.砂中を通過する爆風圧は,ステップ的な圧力上昇は確認できなかった.ブラスト波は砂のランダムに配置された3次元の分布から非定常抵抗を受け,圧縮波へ減衰する.フォーム中を通過する爆風圧は,空気中と比較すると最大過剰圧は90[%]以上減衰し,ステップ的な圧力上昇は確認できない.また,最大過剰圧の減衰効果は砂及びガラスビーズと比べて1番良いことがわかった.シリコンオイルの過剰圧は水中の過剰圧より低く,シリコンオイル中でのインパルスは水中のインパルスより高くなった.また,動粘度の増加によってインパルスの値も増大している.これは正の圧力伝播の周期が水に比べ長くなるためである.ガス球はシリコンオイルの粘度が高くなるにつれて,ガス球の動きが液体の粘性によって阻害されるが,膨張収縮を繰り返す.シリコンオイル中のガス球の直径は,動粘度が高いほど小さくなり,膨張収縮周期は短くなっている.爆薬で発生する衝撃力は一定であり,ガス球の形成が流体の動粘度の増大により,大きな非定常抵抗となりガス球の膨張が抑えられたと考えられる.
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