研究概要 |
言語障害者が発する息に含まれる水分分布を光ファイバセンサアレイにより測定し,その波形を元に,発音を認識するシステムについて研究を行った.このシステムを実用化にするにあたり,センサの高感度化,高速化が望まれている. 本研究では,湿度によって膨潤を起こし,屈折率が変化するポリマをセンシングクラッドとした光ファイバをセンサとして用いている.したがって,感度及び応答速度を向上させるためには,膨潤現象による屈折率変化が早く,かつクラッド部に漏れ出した光を効率よく拡散もしくは吸収する必要がある. 本年度は,ノボラック樹脂を鉄錯体化させることにより,吸収率の高い黒色ポリマが作成できることに着目をし,これをセンシングクラッドにした新たな光ファイバセンサを開発した.そして,これを用いることにより,センサの感度向上と応答速度の向上を図った.その結果,従来のセンサと比較して,応答時間は半分程度に小さくなり,発音の認識率を向上するのに成功した.母音のみの認識では,DBマッチング法による学習データを用いることにより,ほぼ100%に近い正答率を達成できることを示した.しかし,まだ子音を認識するには至っていない.子音を認識するためには,より早い応答速度のセンサの開発が必要とされる.したがって,今後更なる高速に膨潤現象を起こすようなポリマ材料を探索する必要がある. また,本年度は,個人ごとに口の形状が異なることを考慮し,光ファイバセンサアレイの位置を個別に制御できるシステムを開発した.センサの位置の最適化について検討した.
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