研究概要 |
周防灘西岸の人工海岸と干潟海岸を対象として海面上昇による影響やそれに対する適応策を検討する上で重要となる沿岸域管理の工学的手法を開発し,それを用いて海面上昇の影響を明らかにする目的で研究を行った。高潮災害の危険度の増大に関しては,伊勢湾台風規模の台風によるとその経路によっては偏差値が4m以上となり,満潮位にそれを加えた可能最大潮位は約7.8mとなるが,確率年としては2000年以上である。構造物近傍の波浪場を精度よく計算することができる数値解析法を開発し,海面上昇後の人工海岸における越波量計算を行い,適応策の一つとして考えられる嵩上げされた護岸でも許容越波量をはるかに上回る越波が起こることを明らかにした。さらに,干潟海岸ではカブトガニ幼生を指標種としてその生息環境を明らかにし,海面上昇によりその生息範囲が著しく狭められることを明らかにした。
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