研究概要 |
これまでの安定処理土に関する多くの研究は, いずれも処理土を静的な条件下で養生したものであり, 深層混合処理地盤の一部を要素的に再現するに留まった研究であったが, 本研究課題では, 実際の道路盛土での利用を想定して「固化→破砕→締固め」のプロセスを再現し, マイクロおよびマクロの視点により, 化学的安定処理土の最適な利用技術の提案を行うことであった. 本研究では, そのプロセスを室内実験において実施することに成功し, 作製された処理土供試体の力学・土構造・溶出特性を調べた. 本研究課題で明らかとなったことを, 以下に示す. 力学特性に関して, 1) 高炉B種処理土では締固めエネルギーが0.5の場合, 生石灰処理土ではEcが0.25の場合にコーン指数はピークを示し, それ以上ではオーバーコンパクションを引き起こす; 2) ccuは2次養生期間が0日の条件ではc=qu/2を用いてcへの換算を行っても過小評価とならないが, 28日の条件では過小評価になることが示された. 土構造特性に関して,1)化学的安定処理土はその種々の固化材において, 固有の間隙構造を有す ; 2) 安定材添加量の増減による強度の変化と締固めエネルギーの増減による強度の変化は間隙構造の変化で説明することができる ; 3) オーバーコンパクションがみられる高炉B種処理土は特定の間隙が多くなる. 溶出特性に関して, 1) 2段階処理施工パターンにおける処理土は, ヒ素の溶出特性に関して, その配合パターンと配合割合が重要な要素であることが明らかとなった. なお上記知見は, 各地で行われる浚渫土の有効利用技術において汎用可能な成果といえる.
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