研究課題
基盤研究(C)
RSOsPR10過剰発現イネの各系統の生育特性評価および発現調節機構の解析、トウモロコシへの遺伝子導入系の確立を主要な目的として研究を進めた。RSOsPR10過剰発現イネ系統を用いた根の生育、養水分吸収、悪環境下での生育について検討したところ、ポット栽培による特定網室内での評価試験では、PR10過剰発現イネ系統S3、S4およびS19系統で明確な乾燥耐性が確認された。また、同系統で根の伸長促進(根長、根重量)が確認できた。RSOsPR10遺伝子発現の情報伝達経路については、ジャスモン酸欠損変異体を用いて検討したところ、少なくとも塩処理によるRSOsPR10遺伝子の誘導にはジャスモン酸ではなくエチレンの関与が考えられる。サリチル酸による発現抑制は転写レベルであることも明確になってきたが、これらの内生の調整因子が本遺伝子プロモーター領域のどのようなシス配列とトランス因子によって制御されているのか、今後の重要な課題である。また、PR10を過剰に生産する酵母を作成し、高浸透圧、塩耐性について検討を加えたところ、酵母で塩、および、ソルビトールに対する耐性の向上が観察されている。これらの結果、本遺伝子が何らかの形でイネの悪環境耐性に重要な働きを有することが明らかになってきている。こうしたことから、本研究ではRSOsPR10遺伝子の発現調節に関わる基盤的研究、本遺伝子の過剰発現体が示す悪環境耐性、本タンパク質の生理的機能を明らかにしていく基本的な知見を蓄積することができた。本研究成果を基盤にして、昨年度より発足した農水省新農業展開プロジェクトへの参画もきまり、より応用に向けた研究にも大きく発展してきている。
すべて 2009 2008 2007 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (13件) 備考 (5件) 産業財産権 (4件) (うち外国 2件)
Plant J 57
ページ: 463-472
Plant J. 57
Agric. Ecosys. Environ 125
ページ: 255-265
Agric. Ecosys. Environ. 125
http://dept.biol.metro-u.ac.jp/labo.asp?ID=horcel
http://www.se.tmu.ac.jp/biol/