研究課題
基盤研究(C)
本書は、平成~21年度の3カ年にわたり科学研究金補助金を受けた基盤研究一般(C)の課題である「活性酸素による黄体退行制御機構の解明」の成果をまとめたものである。1)LECにおける一酸化窒素合成酵素(iNOSおよびeNOS)の発現に及ぼすPGFの影響ウシ中期黄体より単離した細胞がLECであることをFactor VIII(von Willebrand factor)抗体を用いて確認し、培養LECにおけるPGF receptor(FPr)mRNA発現を半定量的RT-PCR法,protein発現をWerstern blot法で,さらにウシ黄体組織におけるFPrの局在ならびに培養LECにおけるFPr発現を免疫細胞化学的に検討した。黄体組織切片におけるFPr抗体に対する陽性反応は,黄体細胞だけでなく血管内皮細胞にも認められ,また培養LECにもFPrの発現していることが明らかになった。培養LECのiNOSおよびeNOSのmRNAならびにprotein発現量とNOSキットでNOS活性に及ぼすPGFの影響を調べたところ、PGFは培養LECのeNOS mRNAおよびproteinの発現に影響を及ぼさなかったが、iNOS mRNAおよびprotein発現量を有意に増加させた。2)LECにおける活性酸素分解酵素(SOD)に及ぼすPGF、H_2O_2およびNONOateの影響ウシにおいてPGF投与直後に卵巣静脈中の酸素およびROSの一種である一酸化窒素(NO)が急増すること、またNOが黄体の機能的ならびに構造的退行に深く関与することを報告してきた。一方、SODは過剰に生産されたROSを分解する酵素として知られていることから、PGFは黄体内SODの発現ならびに活性を抑制し、ROSの分解が進まないことによって黄体退行が促進すると考えられる。本研究ではPGFの黄体退行機構におけるPGFとROSの関係を明らかにする目的で、ウシ中期黄体より単離したLECをコンフルエントになるまで培養し、液換と同時にPGF、過酸化水素(H_2O_2)およびNOのドナーであるNONOateを添加し、さらに2または24時間培養した後SOD mRNAおよびprotein発現、ならびにSOD活性を半定量的RT-PCR法、Western blot法またはSODキットでそれぞれ調べたところ、2時間培養したLECにおけるPGF、H_2O_2およびNONOateは培養LECのSOD mRNAおよびproteinの発現量ならびに活性を有意に増加した。一方、24時間培養したLECにおけるPGF、H_2O_2およびNONOateはSOD mRNAおよびprotein発現量を有意に抑制した。さらに、PGF産生に及ぼすH_2O_2、NONOateおよびSODの影響を検討した結果、ROSおよびSODはPGF産生を有意に増加した。ウシ培養黄体細胞においてNOはP_4分泌を抑制し、apoptosisを誘導することが示されおり、さらに本研究の結果と併せて考えると、子宮から分泌されるPGFはLECのNO合成を刺激することにより黄体細胞のP_4分泌を抑制し、黄体退行を促進する可能性が示された。さらに、PGFおよびROSはLECのSOD発現と活性を抑制することによって細胞内ROSが蓄積され、黄体細胞のapopotosisを誘導することが示唆された。また、ROSはLECのPGF分泌を刺激することから、LECにおいてPGFとROSの間にはポジティブフィードバック機構が存在し黄体退行を促進することが示唆された。
すべて 2010 2009 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (28件) (うち査読あり 27件) 学会発表 (26件)
J Reprod Dev 56(in press)
10026324441
Reprod Dom Anim (in press)
Reproduction 139
ページ: 665-672
J Reprod Dev 56 In press
Reprod Domest Anim (In press)
J Reprod Dev 55
ページ: 418-424
ページ: 149-155
Biol Reprod 80
ページ: 657-664
ページ: 512-517
J Reprod Dev (In press)
J Endocrinol 199
ページ: 425-434
Biol Reprod 79
ページ: 310-317
Biol Reprod 78
ページ: 888-895
ページ: 529-536
J Reprod Dev 53
ページ: 473-480
ページ: 39-44
Animal Reproduction Science 97
ページ: 63-73
J Endocrinology 193
ページ: 127-135
Anim Sci J 78
ページ: 233-242
Anim Reprod Sci 102
ページ: 314-321
ページ: 1059-1068
10025616363