研究課題/領域番号 |
19590181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
坂井 靖夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (50272315)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2008年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 口蓋裂 / レチノイン酸 / CYP26 / 遺伝子改変マウス / 発生 / 舌 |
研究概要 |
口唇口蓋裂は、約500人に1人の割合で生じる、最も頻度の高い先天異常の1つである。従来からレチノイン酸と口蓋形成の関連が指摘されてきたが、Cyp26b1)レチノイン酸不活化酵素)ノックアウト)KO)マウスには、100%の割合で口蓋裂と舌の形成異常が生じる。本研究の目的は、口蓋裂発生におけるレチノイン酸の役割をCyp26b1-KOマウスを用いて解析することである。本研究は、京都大学生体構造医学講座・塩田浩平教授および岡野純子研究員との共同研究として行った。 まずCyp26b1-KOにみられる舌形態異常は、レチノイン酸濃度上昇により、DiGeorge症候群の原因遺伝子であるTbx1の発現が抑制され惹起されることが判明した。更にKOマウスの舌筋群では、Tbx1の標的遺伝子であるMyoD、Myf5の発現が消失していた。結果的に舌筋の走行が乱れて上方変位しており、舌形態異常が口蓋裂誘発の外的要因である可能性を示唆した。正常な口蓋発生では、口蓋突起が水平挙上、伸長して中央部で癒合する。KOマウスの口蓋突起は、水平挙上が不完全であった。Cyp26b1は口蓋の挙上に先立ち、挙上の支点となる部位)bend region)に発現している。この部位でのCyp26b1の発現が消失すると同時にFgf10が発現する。Fgf10-KOマウスでは、同じく口蓋裂があり、口蓋の水平挙上が妨げられている。Cyp26b1-KOでは、bend regionのFgf10の発現が抑制されており、レチノイン酸がFgf10の発現制御に重要な役割を果たしていると思われた。更に口蓋突起の上皮にはTbx1も発現しており、舌と同様にその発現が抑制されている。Fgf10の変化が、レチノイン酸による直接的なものか、Tbx1を介した間接的なものかを現在探索している。 また、岡野らが行ったRA投与実験)胎生11.5日の母体に100mg/kgのレチノイン酸投与)でも、口蓋裂と舌形態異常が見られた。これらの表現型はCyp26b1-KOマウスのものと同様であり、CYP26B1は内在性のレチノイン酸濃度の制御に必須であると考えられた。
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