研究課題/領域番号 |
19590277
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
八代 健太 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教 (60432506)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2007年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 発生生物学 / 形態形成学 / 神経病態生化学 / レチノイン酸代謝 / マウス / DiGeorge症候群 / 原腸陥入 / 精子形成 |
研究概要 |
1.心臓流出路の形態形成および鰓弓動脈のリモデリングにおけるCYP26B1の果たす役割 第6鰓弓動脈のリモデリングには、胚体内での血行動態が重要であることを明らかにした(Nature, in press)。今後は、レチノイン酸シグナルと血行動態および鰓弓動脈のリモデリングに関わる既知の遺伝子群との相互関係を明らかにすることが課題となった。一方、Cyp26b1変異マウスにおけるTbx1遺伝子の発現は、鰓弓では正常に保たれていたため、Cyp26b1はTbx1の下流で機能していることが示唆された。 2.雄生殖器での始原生殖細胞・Sertoli細胞およびLeydig細胞の形態形成におけるCYP26B1の果たす役割 Cyp26b1変異マウスでは、PDGFRαを介したシグナルの減少に因ると思われる血管新生の低下と、Leydig細胞におけるテストステロン合成障害が見いだされ、この変異マウスでの生殖細胞の細胞死はレチノイン酸の直接作用ではなく、生殖細胞を支持するSertoli細胞とLeydig細胞の機能異常に因る二次的障害である可能性が高まったと考えられた。一方、Cre/LoxPシステムに因るCyp26a1の異所発現により、雌生殖原器においてレチノイン酸シグナルは抑制できたが、減数分裂に影響は生じていなかったため、生殖細胞の減数分裂開始にレチノイン酸が直接的な役割を果たしていることに関し、否定的な結果となった。組織学的にこの変異マウスの雄生殖細胞の胚体内での異所的減数分裂は大変に稀な数しか観察されず、また雄生殖細胞が減数分裂を開始した生後のtestisにおいてもCyp26b1は発現を持続していることも、レチノイン酸が生殖細胞に直接的に作用していないことを示唆した。 3.成体での小脳・海馬領域におけるCYP26B1の果たす役割 本研究を推進するために必要なCyp26b1コンディショナル変異マウスの繁殖がほぼ軌道に乗り、実験を開始する態勢が整った。 4.原腸陥入におけるCYP26B1の果たす役割 二次軸を形成するCyp26a1/b1/c1の3重変異マウスにおいて、原腸陥入期に異所的なレチノイン酸シグナルは主にepiblastで生じていること、原腸陥入期に胚体へのレチノイン酸は胚体外組織を通じて母体から供給されており、これを胚体外組織および胚体近位部に発現するCyp26a1が主として代謝し胚体に及ばない様に保護していること、のp26a1が欠損すると、他のCyp26が発現しCyp26alの欠損を補えることが明らかとなった。今後は亢進したepiblastでのレチノイン酸シグナルが、如何にして二次軸形成に至るのか、その分子生物学的メカニズムに迫りたい。
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