配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2008年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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研究概要 |
近年, 蛋白質をコードしない遺伝子(non-coding RNA ; ncRNA)が機能的RNAとして振る舞うことが注目されている. 特にmiRNAは, 全蛋白質の10-30%程度を制御下にしているとの試算もなされている. miRNAはgenetic/epigenetic以外の第三の遺伝子制御機構として, 細胞特異的な遺伝子発現に関与している可能性がある. 本研究では, 複数の癌腫において, 生物学的特性の形成に重要なmiRNAの発現異常を解析した. 甲状腺癌では, 末分化癌におけるmiR-138の極端な発現低下が確認された. miR-138の発現低下はhTERT遺伝子産物の発現を誘導し, 甲状腺末分化癌のアグレッシブな生物学的特性を反映するものと考えられた. また, 約半数の骨肉腫で, miR-127の発現低下が認められた. miR-127の発現低下はBCL6の過剰発現を誘導した. miR-127はエピジェネティックな発現の制御を受けており, miR-127の発現低下により誘導されたBCL6陽性骨肉腫では, 予後不良の傾向にあった. 悪性黒色腫ではmiR-211の発現低下が認められ, これはcancer-testis antigenであるPRAMEの発現を誘導していた. PRAME遺伝子産物は白血病では免疫療法の標的遺伝子ともなっており, 治療戦略への応用も考えられた. また当所目的で掲げたmaspin遺伝子のaberrantは発現に関与するmiRNAの特定には至らなかった. 悪性腫瘍には組織型毎に特徴的なmiRNAのプロファイルを示し個々の癌腫の生物学的特性の形成に役立っている. 本研究で特定されたmiRNAsは今後個々の癌腫の治療戦略を考える上に重要な情報を供与するもと考えられた.
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