研究概要 |
糖尿病は体内の酸化ストレスを増大させ,虚血性脳障害を増悪させることが報告されている。本研究の目的は,糖尿病の中枢神経障害を予防・改善する優れた抗酸化作用をもつ食品を探索し,その有効性と安全性とを科学的に検証することである。また,糖尿病における中枢神経細胞の脆弱性形成メカニズムを明らかにし,抗酸化食品の有効性を明らかにすることを目的とした。糖尿病態モデル動物(DM)に一過性脳虚血処置を行い,健康食品である霊芝菌糸体培養培地抽出物(MAK)の効果を検討した結果,DMでは体内の酸化ストレス度の上昇,脳虚血後の運動機能障害の悪化および脳梗塞巣の増大が認められたが,MAKを経口投与したDMでは,酸化ストレス度が正常レベルに維持され,脳障害の増悪がほぼ完全に抑制された。以上の結果から,MAKは糖尿病における酸化ストレス状態を改善し,一過性脳虚血に対する強い脳保護効果を示すことが明らかになった。
|