研究課題/領域番号 |
19590943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂爪 実 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70334662)
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研究協力者 |
小川 麻 , 大学院生
酒巻 裕一 , 大学院生
猪俣 繁 , 大学院生
王 興智 , 大学院生
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研究期間 (年度) |
2007 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2009年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2008年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 糸球体腎炎 / 新規機能分子 / SM22α / AIF-1 / 糸球体上皮障害 / バイオマーカー |
研究概要 |
本研究は、糸球体腎炎の腎組織における網羅的発現遺伝子の解析結果から、糸球体傷害に関わる分子機構を明らかにし、新しい機能分子の同定とその分子機能を解明するとともに、それらの分子を病態理解のためのバイオマーカーとして臨床応用することを目的として行われた。 DNAマイクロアレイを用いた半月体形成性腎炎モデル(抗糸球体基底膜抗体腎炎)の発現遺伝子解析により見出されたSM22α遺伝子に着目し、傷害された糸球体の上皮細胞(parietal epithelial cells=ポドサイト、およびvisceral epithelial cellsニボウマン嚢上皮細胞)に発現することを見出した。ポドサイト特異マーカーであるポドカリキシンとの二重染色により、ポドサイトではポドカリキシンと共染色される細胞とどちらか一方が染色される細胞が観察される。また、もう一っのポドサイト特異マーカーであるネフリンとの二重染色では、ネフリンが消失したポドサイトにSM22αが検出された。正常マウスおよび正常ラットでは糸球体にSM22αの発現は認められなかった。このことからSM22αは傷害されたポドサイトの炎症性形質変化に伴って新たに発現してくる分子であることが推測された。そして半月体形成性腎炎モデルの長期観察により、SM22αは糸球体障害だけでなく、その後に引き起こされる間質障害に先行して間質細胞にも発現することも解った。免疫電子顕微鏡(immuno-gold法)での観察により、糸球体上皮に発現するSM22αはfoot processが融合した部分に一致して局在することが確認された。 そこで、1)尿細管間質障害を特異的に惹起するモデル(虚血-再潅流モデル)、2)間質障害の後に糸球体障害を生ずるモデル(5/6腎摘モデル)、3)糸球体上皮障害だけを一過性に生ずるモデル(Puromycine aminonucleoside腎症)での発現動態を観察した。その結果、1)では間質細胞だけに、2)では間質細胞、糸球体上皮細胞の順に障害の発生する順に、3)では糸球体上皮細胞だけに発現した。以上から、形態学的変化が生じる前に、病態特異的な腎細胞障害を感知するマーカーとすることができる可能性があることが示された。そこで、この傷害糸球体の上皮細胞に発現するSM22αの機能を調べるため、SM22αノックアウトマウスとコントロールマウスに抗糸球体基底膜抗体腎炎を惹起し、糸球体腎炎の発症・進展・病像の違いを詳細に解析した。 また、ヒトの腎症においてもこの分子の発現が認められることを見出し、糸球体上皮障害との関連を解析した。さらに、この分子を尿中に検出するシステムを確立するため、数種の特異抗体を作成し、ヒト腎疾患のバイオマーカーとしての応用を検討している。
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