研究概要 |
【目的】妊娠高血圧症候群や切迫早産症例の発育遅延胎児に硫酸マグネシウムが投与されていることを想定し、硫酸マグネシウムが一過性徐脈出現に与える影響について、妊娠羊胎仔実験モデルを使用して観察することを目的とする。 【方法】妊娠125日の妊娠羊2頭に対し、慢性羊胎仔実験モデルを作成。作成4日後に実験を開始した。硫酸マグネシウムを与えた(Mg)群(270 mg/kg推定体重を30分間投与後80 mg/kg/時を6時間投与)とコントロール群(生理食塩水)とに分けて検討した。Baroreceptor reflex (BR)の観察は、pherinephrine 5〜7.5μgを羊胎仔の外頚静脈より、10分間隔で5〜6回投与し、投与後の平均動脈血圧の変動(ΔMAP)および心拍数の変動(ΔFHR)をポリグラフにて記録した。その時の胎仔脳波・呼吸様運動により胎仔睡眠サイクルをactive state(AS)とsleep state(SS)とに分けてΔFHR/ΔMAP (BR)を算出し検討した。 【結果】胎仔血中Mgは、Mg群で0時間後;2.3mEq/mL,3時間後;4.9mEq/mL、6時間後;5.3mEq/mLであった。BRはASでは3.2,4.3,3.5、SSでは5.2,2.7,2.3と変化した(それぞれ平均値)。 【考察】胎仔高Mg血症において、BRはASではあまり影響を受けないが、SSでは干渉を受ける可能性が示唆された。胎仔sleep stateでは、変動一過性徐脈の出現が高Mg血症により修飾される可能性が示唆された。今後、症例数を増やして再検討する。
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