研究課題
基盤研究(C)
DNAメチル化は、遺伝子の発現抑制を介してがんの発生・進展に関与している。本研究は大腸がんの肝転移に関わる遺伝子のうち、特にDNAメチル化により制御される遺伝子の網羅的解析を行ない、大腸がんの肝転移に関与する遺伝子の同定と、新しい肝転移診断マーカーの開発を目指した。まずDNAメチル化標的遺伝子の網羅的解析法として、(Methylated CpG island Amplification-マイクロアレー法 ; MCAM法)を用いて、大腸がん原発巣(CRC)および転移巣(meta)のDNAメチル化標的遺伝子のプロファイリングを行った。大腸がんはMCAM法によりDNAメチル化が腫瘍内に集積するCpG island methylator phenotype (CIMP)症例とCIMP陰性症例に分類可能であった CIMP陽性症例と陰性症例では肝転移の頻度には有意な差は認めなかった。CIMP陽性・陰性症例で正常粘膜のDNAメチル化を、大腸の部位別に詳細に解析し、大腸がんの発がん過程におけるDNAメチル化の蓄積は大腸の部位によって異なる様相を呈することを見出した。すなわち近位部大腸に関与が深いCIMP陽性症例に対し、遠位部大腸ではDNAメチル化蓄積は年齢と強い相関を認め、その蓄積が発がんに関与していると考えた。次に9例の手術症例で同一患者のCRCとmetaの組織からDNAを抽出した。これらの症例はCRCではCIMP陽性例2例 CIMP陰性例7例であった。全症例の平均では、CRC特異的、meta特異的、両者共通メチル化遺伝子は568遺伝子、579遺伝子、515遺伝子であった。これらの遺伝子のうち複数症例で共通してメチル化した遺伝子を選択し、研究期間内に蓄積した症例を用いて肝転移巣に特異的なメチル化標的遺伝子の解析を行なっている。以上の結果と臨床病理学的背景との相関から、大腸がんの肝転移に関与する遺伝子の同定と、新しい肝転移診断マーカーの開発に結びつけることが期待できる。
すべて 2009 2008 2007
すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (12件)
Langenbeck's Arch Surg. 393
ページ: 181-184
Hepatogastroenterology 55
ページ: 228-230
PloS One 3
Nat Genet. 40
ページ: 741-750
PLoS Genet. 4
Carcinogenesis 29
ページ: 1901-10
ページ: 2139-46
langenbecks Arch Surg. 393
ページ: 181-84
J Gastroenterol Hepatol 22
ページ: 837-840
Langenbeck's Arch Surg. 392
ページ: 535-538
Hepatogastroenterology 54
ページ: 1554-1556
Hepatol Res. 37
ページ: 974-83
10019773990
Cancer Res. 67
ページ: 1997-2005
Plos Genetics 3
ページ: 2023-36
J Hepatobiliary Pancreat Surg 14
ページ: 456-456
Jpn J Clin Oncol 37
ページ: 525-529
World J Surg. 31
ページ: 2016-2022