研究分担者 |
永廣 信治 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
西 京子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師・研究 (60335817)
宇野 昌明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90232884)
中嶌 教夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00332817)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2008年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2007年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究概要 |
脳動脈瘤形成初期から炎症性マーカーを指標に脳動脈瘤形成と炎症との関係を調べ、血管壁の炎症性変化の抑制が脳動脈瘤形成抑制に寄与するかどうかを解析し、炎症性変化における白血球接着因子の役割を検討した。電子顕微鏡による内皮細胞形態と脳動脈瘤形成との関連性を解析し、また顕微鏡下で摘出した脳血管の血管壁障害に関わる白血球遊走・接着因子であるMCP-1, P-selectin, E-selectin, cellular adhesion moleoule-1(ICAM-1), vascular cell adhesion molecule-1(VCAM-1)およびP-selectin glyroprtein ligand 1 (PSGL-1)や炎症関連分子であるTNF-αのmRNAを定量RT-PCRにて測定した。また免疫組織染色でP-selectin, E-selectin, ICAM-1, VCAM-1やMMP-9の発現分布を観察し、血管壁の炎症性変化の推移と脳動脈瘤形成の関連性を解析した。脳動脈形成初期から増大に相関して接着因子、炎症関連分子の発現が転写レベルから増加しており、脳動脈形成および増大において炎症性変化が大きく寄与することを明らかにし、この発現を抑制することにより脳動脈瘤形成が抑制できれば治療に有用と想われた。そこで白血球接着因子の発現抑制を示す可能性がある薬物としてibudilastを使用し、動脈瘤形成が抑制されるかどうか評価した。Ibudilastは非選択的にphosphodiesrase 4(PDE4)阻害作用を有しており、抗炎症作用を示すことが報告されている。免疫組織学的評価では動脈瘤壁では上記の炎症関連分子に加えて、PDE4が強く発現することを確認した。Ihudilast投与群では未治療群に較べて動脈瘤用変化の内皮傷害や動脈瘤形成頻度が低下した。この抑制効果と相関して動脈瘤好発部位血管壁でのP-selectin, E-selectin, IC細-1やTNF-αのmRNA発現が低下した。またこれらの分子は血管内皮細胞で発現力{みられたことからさらに血管内皮細胞を用いてTNF-α刺激下でのP-selectin, E-selectin, ICAM-1発現がlbudilastにより抑制されることを明らかにした。これらの結果から動脈瘤形成にはPDE4活性化による炎症性変化も寄与していることが示唆された。以上の結果を国際学会2008 strokeで発表後、英文誌に投稿中である。
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