配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2008年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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研究概要 |
Wif-1遺伝子は,新たな分泌型Wnt阻害蛋白の1つとして同定された. 今回われわれは,Wif-1遺伝子のプロモーター領域のメチル化を介したWntシグナル伝達経路の活性化による膀胱癌発生への関与について検討した. 膀胱癌組織(BT)と対応する正常膀胱粘膜(BM)54例を対象とした.Wif-1遺伝子のエピジェネティックおよびジェネティックな遺伝子異常を検討し,Wntシグナルとの関係を評価した.メチル化はmethylation specific PCR法で評価し,発現はRT-PCR法および免疫染色法にて測定した. Wif-1の発現は,脱メチル化剤5-aza処理により膀胱癌細胞で増加した.BTにおけるWif-1のメチル化率はBMに比べ有意に高く,その発現は低かった.またWif-1のメチル化率と発現は負の相関を示した.Wif-1遺伝子のLOHは低頻度であった.BTにおけるβ-cateninの核内発現は,BMと比べ有意に増加しており,Wif-1の発現と負の相関を示した。またWnt/β-cateninシグナル下流のc-mycおよびcyclin D1の発現は,BMと比較してBTで有意に増加しており,Wif-1の発現低下と相関していた.さらにWif-1を発現する膀胱癌細胞株へのsiRNA導入によりc-mycとcyclin D1の発現は増加し,細胞増殖が促進した. 以上より,膀胱癌の発生には,Wif-1遺伝子のメチル化によるWnt/β-cateninシグナル伝達経路の異常活性化が関与する可能性が示唆されると考える.
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