配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2008年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2007年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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研究概要 |
本研究は、まず臨床検体の低酸素応答因子およびその下流の変化の解析目的に免疫組織染色を行った。免疫組織染色は腎癌の手術標本を用いたため、腎の正常組織と癌組織で比較検討することが可能となった。腎の正常組織においてはHIF-1, 2, 3ともに発現がみられたが、HIF1および3が同一部位に存在するのに対してHIF-2は異なった部位に存在していることが明らかとなった。また腎癌組織においてHIF-1, 2, 3ともに発現がみられたがVEGFの発現とは、相関を認めなかった。しかしHIF-1およびVEGFに関しては癌細胞の悪性度とやや相関する傾向が認められた。 次にヒト腎細胞癌細胞であるACHN, VMRC, caki-1, caki-2に対して、遺伝子工学的手法を用いてHIF-1を遺伝子導入したが、caki-1および2は遺伝子導入効率が悪く、最も良かったVMRCを用いて実験を進めた。HIfF-1を遺伝子導入したVMRC細胞は、低酸素に対する応答性が向上し、下流のVEGFおよびGLUT-1の遺伝子増幅が認められた。またHIfF-1を遺伝子導入したVMRC細胞は、細胞浸潤能が高くヌードマウスに皮下移植すると対照群に比較して増殖速度が速いにかかわらず中心性壊死が少なく増殖することが確認された。 そこでsiRNAを用いてHIF-1をノックダウンすると低酸素下での増殖能が低下し、ヌードマウスの背部皮下移植においても増殖の抑制効果を認めた。以上よりHIF-1を制御することにより腎癌の増殖コントロールが可能であることが示された。
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