研究概要 |
歯科鋳造で作製したタイプ4金合金(キャスティングゴールドM.C.),金銀パコジウム合金(キャストウエルM.C.)ならびにチタン合金(Ti-Al-Nb)のバフ研磨鏡面仕上げ試料に対して,分光測色計により分光反射率を測定し,各合金の色差(△E^*),明度指数(L^*),知覚色度指数(a^*,b^*)を決定した。さらに,37℃に保持した0.1%硫化ナトリウム水溶液中に1,2,3,7,14,30日間浸漬した際の変色性を評価した。主な結果は次のとおりである。(1)浸漬時間が増加すると共に,分光反射率が低下傾向を示し,その程度は金合金では非常に小さく,チタン合金,金銀パラジウム合金の順に大きくなった。チタン合金では低波長側が,金銀パラジウム合金では高波長側での低下が顕著であった。(2)浸漬後の△E^*は金合金(2.2),チタン合金(10),金銀パラジウム合金(19.3)の順に大きくなり,耐変色性の良否を判断することができた。初期段階の変色速度も金合金,チタン合金,金銀パラジウム合金の順に大きくなった。変色傾向は金合金では7日で,チタン合金では30日浸漬で停止し,金銀パラジウム合金では30日でも増加傾向が認められた。肉眼的には金合金の変色は確認できない程度であった。(3)L^*は減少傾向を示した。30日浸漬において金合金では1.9%,チタン合金では8.5%,金銀パラジウム合金では23.2%の減少があった。a^*はその変化が非常に小さかった。b^*については金合金でわずかな増加,金銀パラジウム合金でわずかな減少,チタン合金で大きな増加傾向を示した。浸漬に対する変色性にはL^*とb^*の影響が大きいことが明らかになった。(4)変色の大きい金銀パラジウム合金に対して850℃で溶体化処理を行うと,3日浸漬後においても分光反射率曲線には全く変化が認められず,組織依存性が大きいことを明らかにした。
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