研究課題
基盤研究(C)
急性あるいは慢性的な疼痛をコントロールすることが困難な理由の一つに感染や疼痛というストレス刺激によって不安、恐怖、およびうつなどの情動が発現し、それらが学習記憶されることで感覚認知の鋭敏化や遷延化を引き起こしていることが考えられる。従って痛覚を受容する中枢神経系として、視床や大脳皮質感覚野以外に、視床下部や、扁桃体、海馬、および前帯状回などの辺縁系の重要性が示唆される。実際、poly I:Cによる感染ストレス時に、視床下部室傍核、視索前野および帯状回において、IFN-α、やセロトニントランスポーターの発現が増強し、痛覚伝達において重要な役割を果たしている脊髄後角膠様質ニューロンに対し、セロトニンが5-HT1A受容体を介して、K+イオンチャンネルの開放による抑制を起こすこと、および膠様質のGABA含有抑制性ニューロンに対し5-HT3受容体を介して活動を上昇させ抑制性シナプス後膜電流を増加させることなどが明らかになった。これらの作用は、侵害受容機構において、セロトニン下行性鎮痛系の作用機序をになうものと考えられた。
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