研究概要 |
平成20年度は, 以下の2項目について研究・開発を実施した. 1. ソフトウェア実装された共通鍵暗号モジュールに対する解析精度を評価した. 特に, 位相限定相関法に基づく波形マッチング技術を用いることで, 波形取得のタイミング誤差を高精度に補正可能であることを実証した. 共通鍵暗号には現在のデファクトスタンダードであるDESを用い, 実験用の差分電力解析ソフトウェアには前年度に開発したソフトウェアと連動するため, MATLABを用いた. 解析を簡単化するため, DESのラウンド15の開始時にトリガ信号を発生させ, そのタイミングで波形取得を行った. 波形の取得は, サンプリング周波数100MHz〜1GHzで行い, 提案する波形マッチングよる解析精度を周波数ごとに評価した. また, マイクロ磁界プローブによる取得に加え, 従来の電圧プローブによる取得も行い, 取得されたサイドチャネル情報の精度を比較・評価した. 2. ハードウェア実装された公開鍵暗号モジュールに対する解析精度を評価した. 公開鍵暗号にはRSA暗号を用い, 実装するRSA暗号プロセッサには高基数モンゴメリ乗算器に基づくアーキテクチャを用いた. 波形の取得およびデータの解析には前年度開発したソフトウェアを利用した。本実験では, 演算器の自乗算と乗算時の消費電力の違いに着目し, さまざまな実装の安全性を評価した. また, FPGAに内蔵されるマクロ乗算器を利用した実装も合わせて評価した. マクロ乗算器の場合であっても単純電力解析が可能かどうか評価するとともに, FPGA上に安全に公開鍵暗号モジュールを実装するための対策方法を検討した.
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