研究概要 |
近年,計算機処理能力の向上により,複雑な3次元VR空間を構築できるようになってきた.特に,物理シミュレーションを伴ったVR世界の構築が可能になり,物理世界に力覚提示を加えたシステムも提案されている.従来から力覚の安定提示には力覚提示装置を1kHz以上で制御することが言われてきた.しかしながら,1kHzでの制御では力覚の提示能力が乏しくユーザーの要求する力覚提示を実現するのが困難であった.そこで,我々は力覚提示のための専用コントローラを開発し,ホストとなるPCの負荷に依存せず力覚補間を用いて10kHzでの力覚提示を3自由度力覚提示装置で実現した.これにより,デバイス単体の性能評価である力覚提示能力(Z-Width)が従来の約10倍となり,極めて硬い提示面が安定に提示可能となった.しかしながら,力覚提示に必要十分な更新周波数の値は解明できていない.本研究では,力覚提示のために数十kHzの更新周波数の実現するため,コントローラの処理能力を向上させた小型専用コントローラを構築する.そして,物理シミュレータによって構築されるVR世界において,質の高い力覚提示を次世代力覚提示システムとして実現することを目指す. 平成19年度は組み込み向けプロセッサSH4用いたコントローラの開発を行い,最新のSH4プロセッサを用いることで,コンパクトな力覚汎用コントローラの構築を検討した.本年度は力覚コントローラの開発と100kHz更新周波数の高解像度力覚システムの基本検討とシステム開発を行ない,その有効性を確認した.
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