研究概要 |
・本研究の目的は (1)無意味肢節動作の摸倣課題によって,AD(アルツハイマー)型の初期認知症の検出が可能であることを実験的に検証し (2)その検査課題を臨床場面で簡易に利用可能とするための標準化を実現することにある. ・平成20年度には (a)本検査課題で用いる36種類の無意味肢節動作を選定し,課題の実施方法として非鏡面模倣を採用し,対面(face to face)と非対面(monitor)条件で検討した. 対面条件では,示範者(demonstrator)が無意味肢節動作を被検査者に対面状況で示範した. 非対面条件では,示範者による無意味肢節動作のビデオ録画をモニタ上に呈示した. (b)課題成績の評定が2名の評定者間で大きく異ならないことを確認した. (c)本検査課題がAD型の初期認知症の検出に有効であることを健常者と軽度認知障害(mild cognitive impairment)者を対象とする実験で検証した. (d)健常者の模倣成績が,モニタ条件よりも対面条件で高いことを確認した. (e)誤反応(模倣の失敗)を,形態的錯誤と左右錯誤タイプに二分し,後者の誤反応がモニタのサイズによる影響を受けないことを確認した. (f)模倣課題における誤反応は,模倣対象である手指の視覚的複雑性だけではなく,視覚的複雑性が低い腕の組み合わせ構造によっても増加することが確認された. つまり示範者の構成意図を理解することが,腕の組み合わせの模倣に関与する.
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