研究概要 |
脳の機能のシステム的理解にはin vivoで生理状態での個々の神経細胞活動をその神経細胞の種類を同定した上で知ることが重要だが、大部分の神経細胞はin vivo活動記録時にその種類の同定ができない。一方、特定の種類の細胞にGFPなどの蛍光色素を持たせたmutantマウスや、蛍光色素などで特定の部位に投射する神経細胞のみを蛍光染色した個体では、多種類の細胞からなる神経回路内の特定の種類の神経細胞に蛍光物質が存在する。本研究は、これら個体を使ったin vivo単一神経活動記録時に、電気記録に用いるガラス電極を通じてレーザー光を導光し記録細胞の蛍光励起・検出を行うことで,in vivo電気生理記録時に細胞種類の同定も行う新しい実験方法を確立することである。既存のアルゴンレーザー、コリメータレンズ、ダイクロイックミラー、Cマウント光学部品(edmund製)、バンドパスフィルターなどの組み合わせで、GFPを発現させた神経細胞近傍にin vitroでガラス電極を近づけていき,蛍光励起と蛍光検出の具合を検討した。結果、ガラス電極からの蛍光励起はガラス電極後端のガラス面からコリメート光を入射することで可能であることを確認した。しかし、ガラス電極先端に黒塗りをしないと完全に先端付近の細胞のみの蛍光励起にならないことなどがわかった。また、外部光源で蛍光励起した細胞の蛍光をガラス電極経由で検出することも検討し,ガラス電極先端からの蛍光検出はフォトンカウント法を用いれば十分に可能(10kphoton/sec以上)なことがわかった。しかし、単一のガラス電極で蛍光励起・検出を行おうとすると、レーザー光の照り返しが問題となりS/N比が悪化することなどが現在の問題である。現在、この問題を光学・統計処理などで改善し,この方法をin vivo実験に応用できるように準備をしている。
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