研究概要 |
In vivo神経節gene silencing法の方法を昨年度までに確立した。同方法を応用し、内臓由来一次求心線維の脳内終末に発現すると予想されているP2X3サブユニット分子(p2x3r)をノックダウンしたところ、導入11-15日後、孤束核におけるP2X3サブユニットタンパクの発現はsiRNA導入側特異的にほぼ半減した。ATPおよびα,β-methylene ATPの効果を定量的に評価したところ、siRNA導入によってα,β-methylene ATPの作用が約45%まで著明にかつ有意に減少した。脱感作の遅いP2X2/3ヘテロ受容体型の応答がP2X2ホモ受容体型に変化した可能性が強く支持された。本年度は、以上の成果を公表するための論文作成に必要となる追加実験を主に行った。残念ながら、本報告書の執筆時点では投稿論文受理に至っていないが、速やかに公開し、この方法を広くさまざまな分子に応用すべく、見学者を広く受け入れ、技術の公開に務めた。また、両側性の電気穿孔法も、体重の減少、行動上の異常などの問題なく行うことが可能となり、in vivoへの応用も可能であることが示された。一方、新たな問題点として、迷走神経求心路の発現分子特性の左右差が予想以上に大きいこと、一次求心神経終末発現分子と類似のしかし薬理学的性質の異なる分子が脳内に発現しており、そのノックダウンの効果が予想以上に単純ではないこと、などの新たな知見が得られたため、本技術を公開した後に新たに取り組む必要がある。
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