研究課題/領域番号 |
19650134
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用システム
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江頭 健輔 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (60260379)
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研究分担者 |
中野 覚 九州大学, 大学院・医学研究院, 研究員 (30420607)
的場 哲哉 九州大学, 大学病院, 医員 (20448426)
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研究期間 (年度) |
2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2007年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 低侵襲治療システム / ナノテクノロジー / DDS / 肺高血圧症 |
研究概要 |
【目的】本研究の目的は、我々が研究開発してきた世界初の吸入ナノDDSが重症肺高血圧症の画期的次世代治療になるかどうかを明らかにすることである。 【結果】1.ナノ粒子作製とコンポジット化:生体吸収性高分子PLGAを基材とし水中エマルション溶媒拡散法を用いてナノ粒子を作製した(平均粒径200nm)。2.培養ヒト肺動脈細胞におけるナノ粒子の細胞内導入と細胞内DDSの検証:蛍光マーカー(FITC)封入ナノ粒子が効果的に肺動脈内皮細胞ならびに肺動脈平滑筋細胞内に送達された。ヒト肺平滑筋細胞にナノ粒子を投与した場合、ナノ粒子は短時間内(15分以内)に高率に導入され、しかも核周囲に安定して長期間(5日間以上)集積した。3.正常動物、重症肺高血圧症モデルにおける吸入型ナノDDSの追跡実験:正常ラット(SDラット)とモノクロタリン誘発肺高血圧症ラットを用いた。蛍光マーカー封入ナノ粒子分散液、あるいは粉末吸入製剤を気管内に単回投与し、経時的にナノ粒子の肺組織細胞内への移行を観察した。同時に流血中、他臓器(肝臓、腎臓、脾臓、骨格筋など)への移行を明らかにした。4.重症肺高血圧症モデルにおける吸入ナノDDSの有効性:モノクロタリン投与3週間後に重症肺高血圧症が確立し、それ以降生存率が低下する。この3週間の時点から治療因子(スタチン、NF-kBデコイなど)を封入したナノ粒子を気管内投与し生存率が改善することが明らかになった。 【結論】生体吸収性ナノ粒子はヒト培養肺動脈細胞に高率に安定して送達ざれた。ラットの気管内投与後、ナノ粒子は肺細血管、細気管支、肺胞、マクロファージ、に分布した。分子標的治療因子を封入したナノ粒子の気管内投与によって重症肺高血圧症動物モデルの生命予後が改善した。これらの成果から生体吸収性ナノ粒子の吸入が重症肺高血圧症に対する画期的次世代治療法に成ることが示唆された。
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